透析患者のクラスター発生は、これまでに福岡県内で8事例を確認しました。
最大規模は第3波の病棟内感染事案Cで、入院HD患者総数90名の4割近くに及ぶ35名が感染し14名が死亡、続いて入所施設内クラスター事案Dでは、15名感染し6名が死亡しました。事案C・Dでは同居施設・入院非HD患者が33例感染し死亡は4名に留まっており、入院・入所患者でも維持HD施行者はCOVID感染予後不良である可能性があります。これらの他にクリニックでの通院H Dが3事案(B,E,G)、入所施設クラスターないしは自宅からの送迎車内と止血処置での感染(A,G)、施設からスタッフを媒介して透析室への持ち込みと考える事案Fが報告されました。2事案(E,F)では透析責任医師が感染したため、関連大学病院からの医師支援とH Dシフト調整により維持透析業務を継続しました。
入院・入所クラスターでのHD患者死亡率は4割(20/50名)、県内で死亡したH D患者の3/4 (21/28名)はクラスター関連です。入所施設でクラスターが発生した場合、濃厚接触透析患者の把握・適切かつ実施可能な時間的空間的隔離透析・重症度の管理に尽力するとともに、可及的速やかなクラスター環境からの分離をご検討ください。
文責 会長 金井英俊