第5波、デルタ株への更なる対策のお願い:「換気」と「不織布マスク」
福岡赤十字病院感染症内科石丸先生より、「最近のデルタ株について、透析患者さんは易感染性であると思うので、改めて注意喚起をお願いします」との連絡がありました。
事例1)福岡赤十字病院では、スタッフから入院患者への感染が発生した。陽性スタッフが接触した患者群の中で、唯一感染したのが透析患者(高齢、開心術後、低栄養、ワクチン未接種)であった。
事例2)他の透析クリニックの事例でもスタッフから透析患者へ感染した。その患者と陽性スタッフは診療上接触歴がなく、遠隔的な空気感染の疑いが強い。
事例3)透析室で家族内感染の発端者から3名へ伝搬した。院内での会話歴あり、1名は無マスク、1名はワクチン未接種。
事例4)公用車利用で通院隔離H D軽症例あるも、呼吸状態悪化し一時入院対応。
ワクチンの効果についても、ブレークスルー症例もあるので、十分でない印象。
現行の感染対策に加えて、デルタ株の場合、「換気」が重要であると注意喚起してほしいとのことです。
文献情報を追記します。
英国の疫学データでは、デルタ株の感染は英国由来のアルファ株に比べ、救急外来受診や入院のリスクが増す(Twohig KA,et al:Lancet Infect Dis.Aug 27 2021 )
米疾病対策センター(CDC)は、デルタ株は、水痘(水ぼうそう)と同じレベルの感染力を持つ、デルタ株は「はしか並みの空気感染に近い」とみる。「ウイルスを含む飛沫のサイズがうんと小さくなり、空気中を(一定時間)漂うようになっている。ウレタンや布製ではなく、不織布のマスクが好ましい:森島恒雄・愛知医科大客員教授(感染症学)
ワクチン効果:透析患者の抗体量は2−6週後で健常人と差がないが衰退は早いとの報告がある一方、接種後4週以降に抗体上昇するが健常人より低く特に高齢・低栄養・低効率透析が影響(添付資料)するとの報告もある。
加えて、透析患者は抗体カクテル療法の好適応(確定・発症からの期間<7日、基礎疾患、重症化リスク)と考えます。入院期間短縮が期待され、隔離H D病床の有効利用に寄与するでしょう。1回30分H D直後D I Vで終了し副反応当院では未経験、1セット2名分で溶解後48時間後は破棄となります。隔離施設決定まで行政の対応に時間を要するようでしたら、各地区の感染担当理事、副会長、小生までご一報ください。
担当の会員の先生方におかれましては、ご尽力の程何卒よろしくお願い申し上げます。
会長 金井英俊